- ビットコインをはじめとする仮想通貨は、「財産債務調書」に記載する必要がある点に注意。
- 一方で、「国外財産調書」については、仮想通貨の保有者が居住者であれば記載不要。
「財産債務調書」は、「所得金額2,000万円超」、かつ、「(その年の12月31日において)3億円以上の財産(預金、有価証券や不動産等)または1億円以上の有価証券等を有する者」が財産の種類およびその価額等を記載・提出する調書制度で、今年で提出3年目を迎える。
国税庁によると、平成28年分の財産債務調書の提出件数は73,360件(財産総額は約80兆円)で、平成27年分の提出件数74,802件(財産総額は約75兆円)を若干下回る水準となっている(図参照)。これは、適用初年度である平成27年分については従前の財産債務明細書の提出基準である所得金額2,000万円超の者が、財産債務調書の新設により設けられた財産基準を満たしていないにもかかわらず誤って提出したケースがみられたことが1つの要因になっているようだ。
平成29年分の財産債務調書は平成30年3月15日(木)までに所得税の納税地の所轄税務署長に提出する必要があるが、ここ最近話題となっているビットコインをはじめとする仮想通貨の取扱いに注意したい。国税庁によると、「財産債務調書」の提出基準を満たせば、ビットコインをはじめとする仮想通貨も記載する必要がある。
一方で、「国外財産調書」については、ビットコインをはじめとする仮想通貨は「その他の財産」に該当することから国内外の判定は居住地で行うことになるため(国外送金等調書規則12③六)、仮想通貨の保有者が居住者であれば「国外財産調書」に記載する必要がないようだ。