• 平成30年度税制改正における組織再編税制の見直しのうち、大綱に記載されていた「その他所要の措置」の内容を改正法で確認。
  • 全部取得条項付種類株式の取得や株式併合に伴い1株に満たない端数株式を得た少数株主に金銭を交付した場合でも適格株式交換等に該当することが明確化。

適格株式交換等の定義について定めた現行法人税法2条十二の十七の柱書きでは、適格株式交換等の対価要件の原則を「株式交換等完全親法人株式又は株式交換完全支配親法人株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されないこと」とした上で、括弧書きでその例外を複数列記している。例えば、「株式交換等に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産」や「株式交換の直前において株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の発行済株式の総数の三分の二以上に相当する数の株式を有する場合における当該株式交換完全親法人以外の株主に交付される金銭その他の資産」などは、「株式以外の資産」から除かれている。

逆に言うと、ここに列記されていない資産は「株式以外の資産」に該当し、その交付を伴う株式交換等は税制非適格となる。スクイーズアウトにおいては、全部取得条項付種類株式の取得や株式併合に伴い少数株主は1株に満たない端数株式を得ることになり、この端数株式に対し金銭が交付されることで少数株主は排除されるが、現行法人税法では、その金銭交付部分が上記括弧書きで除かれていなかった。そこで30年度改正では括弧書きに次の文言が加わる。

同号イに掲げる行為に係る同号イの一に満たさない端数の株式又は同号ロに掲げる行為により生ずる同号ロに規定する法人の一に満たない端数の株式の取得の対価として交付される金銭その他の資産

上記のイは「全部取得条項付種類株式の取得」、ロは「株式併合」を指す。すなわち、30年度改正は、全部取得条項付種類株式の取得や株式併合に伴い端数株式に対して交付された金銭も「株式以外の資産」から除かれることとなり、このような金銭交付が行われた場合でも、適格株式交換等に該当することが明確化されることになる。

平成30年度税制改正大綱には、株式分配型のスピンオフの準備として行うグループ内再編を税制適格としたり、従業者従事要件及び事業継続要件を緩和したりするなどの見直しと並び「その他所要の措置を講ずる」ことが明記されていたが、これが上記の措置であることが本誌の取材により確認されている。