• 国税庁が収益認識に関する会計基準に対応した改正法人税基本通達を公表。原則として収益認識会計基準の考え方を取り込む。
  • 自社ポイントの付与や割戻し(変動対価)等では、収益認識に関する会計基準と法人税の取扱いが一致も、消費税の取扱いは異なる点に注意が必要に。

国税庁は6月1日、「収益認識に関する会計基準」(平成30年1月1日以後開始事業年度より早期適用可)に対応した改正法人税基本通達を公表した。改正法基通は、原則として収益認識に関する会計基準の考え方を取り込んでいる一方で、課税公平の観点から法人税独自の取扱いも規定されている。ここで注意が必要なのは、収益認識に関する会計基準に沿った会計処理を行った場合に、会計基準の収益・法人税の益金・消費税の課税資産の譲渡等の対価がそれぞれ異なる事例がでてくるという点である。たとえば、自社ポイントの付与について収益認識に関する会計基準では、ポイントが重要な権利を顧客に提供すると判断される場合には、そのポイントの付与を履行義務として識別し、収益の計上を繰り延べる(適用指針48~51)。改正法基通2-1-1の7では、一定の要件を満たすことを条件に商品販売時に前受金(負債)として計上することが認められているが、この取扱いは消費税では認められない(前受金を含む売上が課税売上の対価となる)。また、収益認識に関する会計基準では、取引の対価に変動性のある金額を見積もり、認識した収益の著しい減額が発生しない可能性が高い部分に限り収益が認識される(会計基準50、54)。改正法基通2-1-1の11では、割戻し等により変動する可能性がある取引(返品等を除く)が一定の要件を満たすことを条件に、引渡し等事業年度の確定決算で収益の額を減額又は増額して経理したときはその金額を引渡し時の価額等に反映することが認められているが、この取扱いは消費税では認められない(割戻し等を含む売上が課税売上の対価となる)。

収益認識に関する会計基準では、企業の役割(本人又は代理人)を判断し、財又はサービスを自ら提供する場合には本人と判断して収益を総額で表示する一方で、代理人に該当する場合には純額(報酬や手数料)で表示する(適用指針39~47)。代理人として純額表示の対象となる取引としては、百貨店(小売業)の消化仕入が挙げられる。法人税では会計基準に沿った処理が認められるが(純額)、消費税では総額が課税売上の対価及び課税仕入の対価となる。