• 企業会計基準委員会は、リース会計基準について国際的な会計基準と整合性を図るか否かの検討を開始。
  • オペレーティング・リースについて賃貸借処理に準じた会計処理を継続した場合には、重要な負債がオフバランスとの指摘を国際的に受ける可能性ありと分析。

IASB(国際会計基準審議会)は、2016年1月にIFRS第16号「リース」を公表。また、FASB(米国財務会計基準審議会)は2016年2月に会計基準更新書「リース」(Topic842)を公表している。改正後のこれらの会計基準は、借手の会計処理について、費用の計上パターンが異なるものの、すべてのリース取引を原則としてオンバランスする点では同様となっており、日本基準と大きく異なることとなっている。

このため、2016年8月に公表した企業会計基準委員会(ASBJ)の「中期運営方針」では、国際的な会計基準と整合性を図ることに対する必要性及び懸念に関する検討をリース会計専門委員会において行うこととし、その後、日本における会計基準の改訂に向けた検討に着手するか否かの検討を行う旨が明記されていた。

この中期運営方針を踏まえ同委員会では、リース会計基準を改訂するか否かの予備的分析を開始している。まず、国際会計基準も米国会計基準もオペレーティング・リースを含むすべてのリースに係る資産及び負債をオンバランスすることは共通しているため、オペレーティング・リースについて国際的な会計基準との整合性を図ることは、財務諸表間の比較可能性を高めることにつながると考えられるとしている。また、日本における会計基準において、重要なオペレーティング・リースについて賃貸借処理に準じた会計処理を継続することは、重要な負債がオフバランスとなっているとの指摘を国際的に受ける可能性があり、日本の資本市場及び日本企業の財務報告に対する信頼性に関するリスクが大きいものと考えられると分析している。

企業会計基準委員会が東京証券取引所に上場している企業(3,556社)のうち日本基準に準拠して連結財務諸表を作成している企業(3,414社)を対象に調査を行ったところでは、1,403社がオペレーティング・リース取引の解約不能のものに係る未経過リース料の注記を行っており、負債総額の値も全業種平均では0.9%であるが、業種別にみると建設業、海運業、小売業など7業種で10%を超えていたとしている。仮にオンバランス処理することになった場合にはその影響も大きいものとなりそうだ。